今までに無かったアイデアを出すことが要求される場面は少なくありません。食品や家電などの商品開発。映画、小説、漫画などの創作物。仕事では仕事を効率良く行うための取り組みや企業戦略…。
日常生活では、家事を楽にするアイデアを特許申請して稼いだり、普通では考えられない組み合わせでおいしい料理を作ったり…。
アイデアは仕事や生活を豊かにする事ができることは皆さんご存知かと思います。
しかし一方でこう考えていませんか?
アイデア は一部の頭のいい天才だけがつくれるもの
今回はその固定観念を壊してくれる本「アイデアのつくり方」を紹介します。
この本を読むことでアイデアを生み出すための手順さえ分かれば、アイデアは誰にでも生み出せるという事実が分かります。
なんと、アイデアはたった5つの手順を踏むだけで作り出せるというのです。
この記事では5ステップのアイデアの作り方だけでなく、アイデアを作る上での大切な考え方も説明していきます。
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アイデアを作る上での大切な考え方
アイデアの作り方を紹介する前に、アイデアを作る上での大切な考え方を共有します。「アイデアのつくり方」に書かれている内容を要約すると、
どんな技術を習得するにしても第1に原理、第2に方法を学ぶべき。断片的な知識を持っていても全く役に立たない。アイデアを生み出すことも技術の1つなので原理と方法を学べ。
と主張しています。
なのでここでは原理である、アイデアとはそもそも何なのか?アイデアを生み出すために必要な才能とは?ということについて説明します。
アイデアは既にある要素の「新しい組み合わせ」
皆さんご存知のiPhoneは2007年に誕生しました。iPhoneの登場で世界が変わったことはみなさんの知る通り。では、そんな世界を変えたiPhoneには今までにない全く新しい技術が使われていたのでしょうか?
iPhoneに搭載されている機能や特徴を思いつくまま挙げてみましょう。
タッチパネル、電話、メール、インターネット、テレビ、カメラ、音楽プレイヤー、手のひらサイズ、薄い…
他にも色々要素はありますが、どれもこれも1つ1つの機能はiPhone誕生より前に存在していたものばかりです。
つまり、どんなに斬新な、世界を変えるようなデバイスでも実は構成機能の1つ1つは既にこの世に存在していたということです。
では、iPhoneは何が新しかったのか?それは組み合わせです。
新しかったのはこれら複数の要素を1つの端末にまとめたことです。
今まで通りのガラケーでもタッチパネルや薄さ以外の要素は持っていました。しかし、それで満足しなかったのがジョブズ。先程挙げた要素のすべてを1つの端末に入れ込みたいという彼のワガママは世界を変えました。
このようにアイデアとは既存の要素の新しい組み合わせということなのです。
アイデアを生み出すのに必要な才能とは?
それは、物事の関連性を見つけ出す才能です。
要素Aと要素Bは何が同じなのか?どこが違うのか?どこが似ているのか?という共通点や相違点をいかに多く見つけ出せるかが重要になってきます。
例えば、人生はよく旅に例えられます。
・夢(目的地)にたどり着くために様々な手段を使う。
・仲間がいると心強く、手を取り合うことで夢(目的地)に早く到達する。
・途中で予期せぬ出来事が起こる。
・トラブルを乗り越えると強くなれる
…といった同じような要素を含んでいるので、多くの人が「なるほど」と納得してくれるのです。
違う要素を見つけ出す例として、コーラとペプシを考えてみましょう。
黒色の甘い炭酸飲料という部分では共通しているこの2つの違いは?
提供している会社、店頭で目にする頻度、微妙な味の違い、パッケージ、CMの量…
同じような見た目・性能の製品でも要素を細かく分解してみると様々な違いが明らかになります。どのコンビニが好きか?どの牛丼屋が好きか?どのファミレスが好きか?という質問の答えの理由も、それぞれが提供している要素を分解することで明らかにすることができます。
アイデアの作り方5ステップ
ここまででアイデアの原理は既存の要素の新しい組み合わせと物事の関連性を見つけ出すということが分かっていただけたかと思います。
ここではいよいよアイデアの作り方についてお話します…が、絶対のルールがあるので最初に紹介します。
絶対のルール:順番通り かつ 現段階が完了するまでは次に進んではいけない
こちらを守った上でアイデア作りに挑戦してみましょう!
資料収集
まずは資料集めです。
なーんだそんなことか!
簡単じゃん!
と思ったあなた。集めるべき資料は2種類あるのです。
特殊資料
これは商品・サービスそのものと商品・サービスを提供したいと想定する人々についての資料です。
この商品・サービスを使ったらどう得するのか?他と比べて何がいいのか?どういう効果があるのか?今までとの違いは?…といった具合にその商品・サービスの特徴や違いを明確にする必要があります。
商品・サービスを求めているのはどんな職業の人か?どんな状況か?性別は?年齢は?天気は?…といった商品・サービスを買ってくれそうな人(見込み客)について考える必要もあります。
一般的資料
これはある分野での常識や最低限の知識のことを指します。
例えば、日本では出された食事を残すのはマナー違反ですが、中国では逆に少し残すのがマナーとされています。インドでは左手で食事をすることはタブー。
ここで「なぜそういう風になったのか?」と歴史を調べ始めると特殊資料に分類されてしまうので、「国によってそういう文化がある」程度に知識があれば問題ないです。
趣味や職業、日常生活でも「こういう技術がある」「こうするのが一般的」「こういう仕組みで動いている」ということが何となく分かればいいのです。
例えば、雨の日はバスや電車が混む、筋トレの後にはタンパク質を取る、遠くの物体は小さく近くの物体は大きい(遠近法)、じゃがいもの芽には毒がある…挙げればキリがありませんが、「詳しい理屈は分からないけど、そうなっている」ということが分かればいいのです。
この2つの資料集めには「アイデアのつくり方」でオススメしているやり方があるのですが、ここでは省きます。詳しく知りたい方は実際に手にとって貰えれば幸いです。
心の消化過程
ここではまず2つのことを行います。
1つの事実を取り上げ、あらゆる方向から見てみる
例えば、自分の視点だけでなく他人の視点で考えてみる。時間帯を変えて考えてみる。モノ、お金、天気…ありとあらゆる視点で1つの事実を見てみる。
例えば、レストランの売上を上げることを考えてみましょう。
お客さんの目線で考えてみると、店員の態度、料理の提供時間、見本と実物の差…という要素が挙げられます。
時間帯という目線で考えると、朝・昼・夜でお客さんの入り方はどうなのか?それぞれの時間帯でどんなメニューが売れているのか?という要素に注目できます。
他は値段、場所、客層、有名か…といった部分にも注目できます。
2つの事実を並べて、どうすればこの2つが噛み合うのか調べる
ここでは2つの事実の関係を探します。
さっきは自分のレストランのことだけを考えてみました。今度は売れているライバルのレストランに対しても同じように他人の視点、時間帯、モノ、お金…で考えてみます。そして、自分のレストランとライバルのレストラン、どの視点から見ると2つの事実がつながるのかを調べます。
例えば
・自分の店は朝は人が多いが昼と夜はそれほど。ライバルは朝はいないけど昼夜は多い
・自分の店は名物が無いけどライバルにはある
・自分の店は雨になると客が少なくなるが、ライバルは変わりない
・立地はどちらも悪くない
・自分の店は一人客が多いが、ライバルは家族連れが多い
…といった具合です。
そして訪れる2つのこと
自分とライバルの分析が終わると2つのことがあなたに起こります。
仮の、もしくは部分的なアイデアが生まれる
この生まれたアイデアはロウソクの火のようにすぐに消え、もう二度と出会えないかもしれないので、常に紙とペンを用意できるように。
そして、どんなに常識ハズレでも、不完全なアイデアだったとしても浮かんできたアイデアは全て書き残してください。
例えば
・自分の店は朝は客が多いが昼と夜はそれほど。ライバルは朝はいないけど昼夜は多い
→昼と夜それぞれに限定メニューを作るか?逆にメニューを絞って質を上げるか?
・自分の店は名物が無いけどライバルにはある
→大食いチャレンジ用のメニューでもやってみるかな?
・自分の店は雨になると客が少なくなるが、ライバルは変わりない
→雨の日限定メニューや割引券でも作る?
・立地はどちらも悪くない
→これは考えなくていいや。
・自分の店は一人客が多いが、ライバルは家族連れが多い
→あっちは数で勝負してる感じかな?じゃあこっちは高級路線で行ってみる?
…ライバルと勝負するか別の路線で攻めるか。どちらにせよ浮かんだアイデアは全部残しておいてください。
2つの関係性探しがイヤになってくる
どこが同じでどこが違うのか。この関係性探しには限界が訪れます。
…。もう出てこない。
これ以上はムリ…。
こういう状態になったあなた。
おめでとうございます!
あなたは次のステップに進むことができます。
「もう出ない」「もうムリ」となって初めて第2のステップはクリアなのです。
一度、問題を放棄する
せっかく考えたのに忘れろって言うんか!
こう思われた方もいるでしょう。
その通り。
理由は次のステップで説明します。
とりあえず今は考えるのをやめて。感情や想像力を刺激するようなものに触れてください。映画や芸術、読書などがおすすめです。
読書をするのでしたら、こちらの本がおすすめです。
紹介記事はこちら
ある時、突然、予期せぬタイミングでひらめく
みなさんこんな体験、もしくはドラマのワンシーンを見たことがありませんか?
~♪
…あっ!あれはそういうことだったのか!
あっ!アレ忘れた!
出かける前に忘れないぞって思っていたのに…。
刑事「~でね、こう言ってやったんだ!」
モブ「あはは!〇〇みたーい!」
刑事「…今、なんて?」
モブ「えっ?〇〇みたいって…」
刑事「そうか…そういうことだったのか!」
どれも全く違うタイミングでハッと何かに気づく。これらに共通するのは
その時、問題のことなんて1ミリも考えていなかったということです。
なぜ考えていないことをひらめく事ができるのか?
簡単に説明すると人間は無意識でも思考・情報収集しているからです。詳しくはこちらの本で。(後日、紹介記事を書きます。)
ここで注意して欲しいことが。
このひらめきもロウソクの火のようにすぐに消えてしまうのです。
常に紙とペンを用意できるように!
「理解ある」人々の批判を仰ぐこと
これで最後のステップです。
ここまでのステップを通って生まれたアイデアは植物なら種、動物なら赤ちゃんのような存在です。生まれたものは現実世界で生きられるように育てる必要が。そのためには忍耐強くたくさんの手を加える必要があります。
しかし、多くの良いアイデアが世の中に出てこない理由もここにあります。
せっかく生んだアイデアを現実世界に適応させるのに必要な忍耐や実現させるための努力をしない、もしくはできないということです。
せっかくのアイデアを自分の手で潰さないためにはどうするのか?「アイデアのつくり方」では「理解ある人々の批判を仰ぐこと」を解決方法として提案しています。
(前略)良いアイデアというのはいってみれば自分で成長する性質を持っているということに諸君は気づく。良いアイデアはそれをみる人々を刺激するので、その人々がこのアイデアに手をかしてくれるのだ。諸君が自分では見落としていたそのアイデアのもつ種々の可能性がこうして明るみに出てくる。
アイデアのつくり方 54ページ
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感想
全体でたったの102ページ。しかも今後の人生にも役に立つ素晴らしい本で、読書習慣がないという方にもオススメ。どんなに読むのが遅い人でも、半日あれば必ず読み切ることができます。
アイデアの作り方そのものは初めて目を通したときは「ええっ!」と思いました。しかし、自分の過去や思い当たる場面を振り返ってみると「ああ、確かに」と納得。特に「ある時、突然、予期せぬタイミングでひらめく」のステップは自分がよく体験することです。
読書をしていると、普段は無意識に行っていることが文章として登場した時は驚くものの、「実際に自分が過去に経験していたことなんだな」ということが分かった途端にその時の感覚が思い出される。この体験の積み重ねが人生をより豊かにさせてくれるのではないかと思います。
本文とはあまり関係なさそうに思われる訳者あとがきにも、今後のためになる話があるので購入された方はぜひ読んでほしいです。
まとめ
ここまでご覧下さりありがとうございます。
最後はこの記事のまとめで締めくくりたいと思います。
今回のまとめ
・アイデアの作り方には原理と方法がある
・作り方さえ知っていれば誰でもアイデアは作れる
・アイデアの作り方は5つのステップに分かれている
・常に紙とペンを用意しておくこと
紹介した本
この記事では書籍「アイデアのつくり方」の内容を紹介しました。
この記事では2つの本をオススメとして紹介しました。
ではまた次回。
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