これ以上がんばっても夢を叶えることはできなさそう…
でも、辞めたら今まで努力してきたことがムダになる…
かと言って、このまま続けるのは苦しい…
いったい俺はどうすればいいんだ…
今回はそういった夢を諦めようとしている方にオススメの本
「諦める力」(著者:為末 大)の紹介をします。
この本はマナブさん(twitterに飛びます)が下の動画の読書キャンペーンで課題にしていた本です。
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夢を諦めないために、〇〇を 諦める
結局、夢を諦めろって言ってんだろ!
タイトルを見てこう思われた方もいるでしょう。
私もそう思いました。
しかし為末さんの主張はむしろ逆で、夢を諦めないために別のものを諦めろと主張しているのです。
では何を諦めろと言うのか?
それは夢に至るまでの道。つまり手段を諦めることなのです。
著者の為末さんがこの本で語っている実例で説明します。
為末さんの実例
為末さんは世界選手権の400mハードルで2度の銅メダルを獲得しています。しかし高校生までは100mをメインとした選手であり、好成績も残すほどの実力者でした。
高校3年生のインターハイの時に為末さんは100m、200m、400mにエントリーしていましたが、顧問の先生が勝手に100mのエントリーを取り消していました。言い合いになるほど激昂しましたが、その場では渋々説得に同意した為末さん。その時参加した400mで当時のジュニア新記録で優勝。この時に400mに対する手応えを感じるも、100mへの未練が残っていました。
そこで、自分を納得させるために自分自身の分析とライバル選手の分析をしてみたところ、100mではトップに立つことは無理かもしれないという感覚に。実際、かつてのライバルや後輩たちに試合で負け、100mで勝てるという自信を持てなくなっていた時期でもありました。
そのころから、顧問の先生に勧められていた400mハードルを意識的に見るようになった為末さん。世界のトップが集まる国際大会にも関わらず、ムダな動きをしている選手が金メダルを取っている場面を目の当たりにして、
「100mより、400mハードルのほうがずっと楽にメダルを取れるのでは…?」
と考えるに至り400mハードルに転向しました。結果はご存知のとおりです。
この話をまとめると、
メダルを取るという夢を達成するために100mという手段を諦め、400mハードルに移動した。
ということになります。
よくある反応と反論
この話を聞いてこう思った方も少なくないと思います。
逃げだ!
なんかズルくない?
果たして本当にそうでしょうか?
例えば、任天堂は元々、花札などのカードゲームを作っている会社でした。今はテレビゲームを作っている会社という認識の方が強いのではないでしょうか?
富士フィルムは写真フィルムやカメラだけでなく、化粧品や健康食品なども販売しています。
就職や転職でも、現在では「IT産業が稼げそうだからそっちに行く」という考え方も今では一般的ではないでしょうか?
経営を続けるという目標のために事業を変える・広げるという手段を変える。
もっと稼ぐという目標のために稼げそうな業界に転職するという稼ぐ手段を変える。
目標のために手段を変えるという行為は実はありふれていることなのではないでしょうか?
具体的には何をすればいい?
ここからは実際に何かを諦めるときについてお話します。
何かを諦める前、諦めるときの2つに分けます。
諦める 前にすること
ここでは何かを諦める前に考えておくべきことについてお話します。
自分の夢や目標をはっきりさせる
自分は何がしたいのか?何を達成させたいのか?能力があるか無いかは後で考えるとして、まずはこれがないと始まりません。
自分ができること(能力)や楽しくできることを明確にする
勘違いされやすいのですが、何か特別な資格あるとか、表彰されたとか、そういった大層なことを求めているわけではありません。
今や過去を振り返って
「これは寝ることや食べることを忘れて没頭したなぁ(している)」
「これは特に苦労することなくできたなぁ(できる)」
「〇〇は楽しかったなぁ(楽しい)」
といったことを指します。
例えば
「イラストの練習をしていたら、休日が無くなった…」であればイラスト。
「裁縫ができない人の気持が理解できない」であれば裁縫。
「料理は楽しい!」であれば料理。
に適性や能力がある可能性があります。
ここには当然個人差がありますし、自分の目では見えない部分も多くあるので、誰か身近な人に聞いてみるのが早いと思います。意外な一面が現れるかもしれませんよ?
自分の勝ちやすい戦いの場を選ぶこと
次は自分の戦いの場を選ぶ作業になります。
この時に注意するのが、自分が勝ちやすい場所を選ぶということです。「勝ちやすい」とは参加人口が少なく戦略的にも洗練されていない分野のことを指します。ビジネス用語でブルーオーシャンとも言います。
為末さんが初めてメダルを取ったヘルシンキ大会の例で考えてみましょう。
為末さんは最初、100mでメダルを取ろうと考えていました。
100mを抽象化すると、数ある種目の中でも「走る種目」に分類できます。
「走る種目」に注目して具体化すると100m以外にも走ることをメインとする競技がいくつか存在することが分かります。
為末さんはいくつかある種目の中で「400mハードル」なら勝てそうだと判断し転向しました。
もう一つ別のことで考えてみましょう。
「たくさんの人に感動を届けたい」という目標で始めた「漫画を描くこと」を諦めることを例に挙げてみると2つのアプローチが考えられます。
1つは漫画を描くことそのものをやめるのではなく、構成している要素を変えることです。例えば連載ペース・ジャンル・絵柄・対象年齢といった具体的な要素について考えることができます。
例えば、やりたい(やっている)ことが「週刊誌」「バトル物」「リアル寄り」「青少年向け」だとするとこれらの要素のうち、どれか一つでも変えてみては?ということです。
週刊誌から月刊誌に移行。バトル物ではなくギャグに路線変更。絵柄を少年誌っぽくする。中高年向きの内容にする…などが考えられます。もちろん無理をしない範囲で2つ3つを同時に行うことも選択肢の中に入ります。
2つ目は漫画そのものを諦めるパターンです。
「漫画を描く」という行為を抽象化すると下の図のようになります。
「絵を描く」と「ストーリーを考える」という2つの要素で構成されている事が分かります。どちらの方が楽しいか、苦労せずにできるかは人それぞれです。それぞれの要素において、目標を達成できそうな仕事を具体化すると次のようになります。
かなり選択肢が広がりましたね。もちろんすぐに結果が出るとは限りませんし、移動先にとんでもない化け物級の天才がいる…なんてことも。逆にもてはやされたり、今まで気づかなかった才能に目覚めるという可能性も否定はできません。
どちらにせよ、現在戦っているフィールドで勝てないことを知りながら続けることに意味はあるのでしょうか?勝ちの定義は人それぞれですが、勝ち目がないと分かれば撤退して別の分野に移動する準備をすることも選択肢に入れてもいいのでは?
死ぬまでに勝てばいいのですから。
努力はしたのか?
(前略)「じゃあ、別のフィールドに移ろう」と安易に流れ出る人も出てくる。さしたる努力もせずに移動を繰り返すのは、「諦めてもいい」が「そのままでいい」にすり替わっている。(中略)「どうせ私はだめだから」と、勝負をする前から努力することまで放棄するのは、単なる「逃げ」である。
諦める力 p38より引用
勝つための最低限の努力せずして移動することは「逃げ」であると断言しています。あなたも、何かを諦める前には相応の努力をしたのかを確認しましょう。
諦める 時に気をつけること
いざ諦めると決心した時に迷いが生じることや、周囲の人に報告したらかなりの高確率で言われることがあります。ここでは、そんな「諦める決心」を阻害する要因や対処法についてお伝えします。
諦める のは早ければ早いほどいい
何かを諦めずに1つのことだけをする。これは素晴らしいことでもありますが、同時に取り返しのつかない事態を招くこともあります。
一番の大きな問題は年齢です。
年齢を重ねるごとに身体機能は低下していきます。20代でできていたことが、40代になったら難しい・できないということはよくあることです。諦めることを決意したのであれば、早ければ早いほどチャンスは残ります。
また、社会情勢も年齢を無視してはくれません。
最近は45歳リストラやジョブ型雇用といった社会の流れがあります。こういった流れがなくても、転職する際には「35歳まで」「応募条件:40歳以下」という年齢による線引きがされています。
こういった加齢による身体能力の低下と社会情勢を考慮して、特に重大な理由がない限りは早く見切りをつけて次の戦いの場に移動することをオススメします。
諦める 決断にブレーキを掛けないために
今やっていることを諦めたら将来のことが不安…。
別の夢や目標なんて無いし、今更他のことなんてできないよ…。
諦めるという決断をしようとすると、こういう風にブレーキをかけてしまう人はいませんか?今やっていることを諦めてしまうと自分が自分でなくなる。そのような感覚に襲われそうな気がします。では、そんな不安を解消するためにはどうすればいいのか?
それは、自分の人生の横に走っている「別の人生」の存在を日頃から意識することです。
自分の勝ちやすい戦いの場を選ぶことで紹介した抽象化と具体化をすることで、今見えているのとは違う人生があることが分かるかと思います。これを分かっておくことで「今の道がダメになっても別の道がある」という安心感が生まれます。
つまり、諦める決断にブレーキを掛けないためには、明確な夢・目標とそこに至るための道は1つだけではないということを意識することにあります。
未練を残さず 諦める 方法
諦めると決めた時、今まで接してきた時間が長ければ長いほど、どうしても未練が残ってしまいます。未練を残さず納得感を持って諦めるにはどうすればよいか?
それは終わりの儀式をすることです。
「儀式」と言うと格式が高く神聖なものに聞こえてしまいますが、特にルールはありません。
例えば、「次の試合に負けたら引退する」「〇〇までに目標を達成できなかったら辞める」「次に浮気や黙って借金をしたら離婚する」…
「あの時にきっぱりと終わらせた」という根拠と区切りをつけることができれば、内容は何でもいいのです。
「諦めるな」と言われたら
今までの苦労をムダにするのか!
結果も出さずに逃げるのか!
努力が足りない!
諦めるな!
周囲の人に諦めることを宣言したら、大半の人はこう言われるかと思います。そんなときはこう聞いてみましょう。
「では、私がこのまま続けたとして、どこまで行けると思う?」
この問いかけに対して、具体的で根拠のあるものであれば考え直すという選択肢もあります。そうでないならスルーしましょう。
批判やアドバイスをしてくる人は、あなたの人生に一切責任を持ってはくれません。
自分の判断の責任は自分で負うのです。
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まとめ
今回紹介した内容では以下のことを主張しました。
・夢や目標を諦めなければ手段は諦めてもいい
・自分が楽にできること、楽しくできることを明確にすること
・自分の勝ちやすい分野を選ぶこと
・どんな分野に行くにしても最低限の努力はすること
・諦めるのは早ければ早いほどいい
・キッパリ諦めるためには「儀式」をすること
・他人はあなたの人生の責任を取らない
感想
夢を諦めないために手段を諦める。
これは明確な夢や目標を持った上で具体化と抽象化をすることとマインドセットに関わる話であり、ビジネスにも通じると思いました。
「目的地にたどり着くにはこの道しかない!」という考え方は、視野の狭さと「自分はこれしかできない」という思考からなっていると考えています。この思考を持っていると、どうしてもその道を諦めざるを得なくなった時に立ち往生してしまう。
「他の道はない。しかし、自分にはこれしかできない」
どうやっても叶わない夢のために、この先ずっと無駄な努力を重ねる。そして別の道もあると気付いたときには、年齢を重ねすぎたことで動けなくなる。
一方で、「目的地にたどり着くには他の道もある。最終的に目的地にたどり着ければそれでいいや。」という考え方は視野の広さと「自分にはいろんな可能性がある」という思考に通じている。たとえ今進んでいる道がダメになったとしても別ルートにすぐに移れる。
「この道は私にはダメだったけど別の道もある。他の人間にできることが自分にできないワケがない」
夢を叶えるために別ルートにすぐに乗り換える。その場その場で必要な努力を繰り返す。乗り換えと努力で夢が叶う可能性もあれば、別の夢を発見する可能性もある。
この話はビジネスでも同じことが言えると思います。
「私の会社にはこの技術しか無い。」
「私の会社にはこの技術しか無い。でも、他の分野に応用できそうだ」
考え方がほんの少し違うだけで生き延びる確率がまったく変わってしまう。
結局、人間は行動しなければ何も知ることはできない。しかし、ただがむしゃらに行動するのではなく抽象化と具体化で視野を広げる。そして自分があまり努力しなくても勝てそうな分野を見つけ出しそこに集中する。それでダメならまた勝てそうな分野に移ればいい。
そのときに「自分はこれしかできない」と考えるのではなく「自分はいろいろな事ができる可能性を持っている」と考えることで移動しやすくなるのではないかと思いました。
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最後に
今回紹介した本と関連しそうな書籍を紹介します。
今回紹介した本はこちら。
今回は「諦めること」にだけ焦点を当てて説明しました。今回説明しなかった部分では「勝ちとは何か?」「努力と才能について」「自分にとっての幸福とは何か?」といった人生で役に立つ考え方も知ることができます。
抽象化と具体化に興味を持った方はこちらの本。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの2つの考え方が学べます。
マインドセットに興味を持った方はこちら。
ご拝読ありがとうございました。
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